改正鳥獣法で変わるハンターの世界?

知床の鹿撃ちに連れてってもらっていろいろ聞いた話では
内地と北海道の猟は全然違ってて内地の人大変そうって話。
上下関係とか鉄砲の種類とかいろいろなんかあるのかな。
2015年5月29日、鳥獣保護法が改正された。
それに合わせて開催されたシンポジウム
「野生動物管理のジャパンモデルを考える」に行ってきた。
主催は「野生動物管理全国協議会」である。
さて、改正鳥獣法の正式名称は
「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」である。
「保護を目的とした管理」が、より積極的な管理となったことから
本の法律に「管理」という文字が追加された。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/24051.pdf
改正鳥獣保護法の概要
改正に伴い「鹿・猪の生息頭数を10年後までに半減」という目標値が設定され、
実現するために、集中的かつ広域的に管理を計る必要があるとして
指定管理鳥獣捕獲事業を実施し、認定鳥獣捕獲事業者制度が導入された。
わかりやすく言うと「駆除をお仕事にしましょう」というしくみが
法的に準備されたということである。
この認定鳥獣捕獲事業を行えるのは基本的には法人で、
その法人の下に認定鳥獣捕獲事業者(ハンター)が存在する。
ハンターの人々は法人に所属しないと事業者にはなれない。
そしてすでに認定事業者の研修会が行われたもよう。
どれぐらいの人が参加したのかな。
駆除(というかこの場合野生動物管理)を目的とした法律はもうひとつ、
平成19年12月に鳥獣被害防止特措法(農水省)が成立している。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/pdf/shin_gaiyou.pdf
特措法でも認定事業者的なものが定められておりすでに稼働している。
それが「鳥獣被害対策実施隊」。詳細は以下(上記PDFから抜粋)。
○ 鳥獣被害防止特措法に基づき、市町村は、被害防止計画に基づく捕獲、
防護柵の設置といった実践的活動を担う、「鳥獣被害対策実施隊」を
設置することができる。
○ 実施隊の設置に当たっては、
①隊員の報酬や公務災害補償措置を条例で定めること、
②市町村長が隊員を任命又は指名することの手続きが必要。

駆除目的であれば国定公園で鹿を撃つことが可能になったり、
今までは禁止されてた夜間での発砲がOKになったりします。
今後の課題は駆除した鹿の資源化ってことでしょう。
平成27年4月には実施隊を設置している市町村の数は986におよび、
任命されたハンターには様々な優遇措置が講じられている。
任命されるとうれしいだろうなという優遇措置のなかには
散弾銃を持って10年以上経ってなくてもライフルを持てるとか、
狩猟税が非課税になるとか、技能講習免除とか、経費負担とかがある。
こんなに手厚く助成金が準備されていれば当然不正もあるわけで(伝聞情報)、
実際にはそのあたりがどうなのかは今んとこ不明だ。
今後精査していくと農水の人は言っていた。
特措法(農水省)の実施隊と、改正鳥獣法(環境省)の認定事業者は
前者は市町村、後者は都道府県が基本計画を作っているため、
何かいろいろなことでバッティングしそうだが、
そのあたりの整合性はまだついていない感じ。どうするのかな。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/pdf/h27_06_30_meguji_zentai.pdf
鳥獣被害対策の現状と課題(農水省)
この劇的な法改正でハンター熱が高まっているらしく
高齢化が懸念されていたハンターの世界に
若者が少しだけ戻ってきているらしい(とくに都市部)。
なにしろ狩猟がビジネスになるかもしれないのだ。
認定事業者になればハンティングで食べていける可能性もある。
またこれは、今まではボランティアに委ねられていた駆除の世界に
組織だったハンターが送り込まれるということでもある。
ボランティアではできなかった組織的な駆除が可能になると
むかーしからやってる頭の固いハンターはちょっとどうなの的な
あのー、あなた来なくていいです的なことになるかもしれない。
噂で聞く「ハンターの世界の上下関係」とかごちゃごちゃした部分が
スカッとなくなるとそれはそれでとても良さそうなのだった。
例えば伝統的な巻き狩りは鹿を仕留める手段としてはいいが、
警戒心の強い鹿を増やすことにつながるらしい。
駆除には目標数値があるわけだから、さっさと一網打尽できて
しかも次にもサクサクと駆除できるよう警戒心を起こさせないように
うまいこと撃たなければならない。

食肉資源としては子鹿や若い牝鹿の方がいいと思うけど
若い牡鹿のほうが好きとかいうハンターもいて難しい。
実際には駆除の鹿の資源化は今のところ発展途上。
うまいこと撃つとは具体的に何をするかというと
餌付けする&そこにいるメスと子鹿を積極的に撃つことだ。
しかしわたくしの知っているハンターのおじさま方もそうなのだが、
やっぱり撃つのならトロフィー=角=立派なの=年取った牡鹿が好きだ。
本来はネズミのように繁殖するメスを撃たなければらない、
とわかっていても、角のあるオスがいればそちらを撃ってしまう。
オスは一頭いれば何頭ものメスを繁殖させることができるから
オスを撃っても効率が悪いが、本人はうれしい。
認定事業者になると、こういった撃ち方をされると困るわけで、
必要なのは専門的な知識を持った捕獲技術者である
と、岐阜大学の鈴木正嗣さんがおっしゃっていたが、
そういう技術者が今の日本にいるのだろうか。
これから育成するのかな?
しかし、いずれにしても、今がハンターになりどきなのは間違いない。
現在狩猟の世界に新しい風がびゅうびゅう吹き始めたところである。
新しいハンターの世界がやってくるのではないだろうか。
ちなみに昨今、大日本猟友会でも「狩りガール」とかで
女性のハンター育成を積極的に行なっており
女性ハンターの参入があるらしいが統計にはまだ出てこない。
女性人口が増えれば自動的に男性人口が増えるのは世の常なので、
ハンターの世界は今後ちょびっと明るいのかもしれない。
みなさま、どうでしょう。ハンターになってみるのはいかが?
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