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ソフトクリームが日本の山を再生する? 中洞牧場で見たあまーい夢

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Byほんたべ

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中洞牧場のソフトクリーム。原料は牛乳、アガベシロップ、脱脂粉乳。
増粘多糖類不使用なので牛乳をふんわり固めたようなソフトで
マイベストソフトクリーム。松屋銀座に行ったら食べます。
寒くても絶対に食べて帰ります。



「しあわせな牛からしあわせな牛乳」がキャッチフレーズの
なかほら牧場は、標高700メートルの山の中にある。

くねくねした山道を上がってきたらぽこっと開けた土地に出て、
ここはほんとに山の中なのかしらん? と思うようなところだ。
広大な牧場、というか山のあちこちで、牛は好き勝手に野シバや草を食べている。

わたくしは今回訪問するまで「野シバ」は通称で、
ちゃんとした名前があるはず、と思っていたが、
どうも「野シバ」が正式名称らしい。あらー。
野シバは日本に自生している芝で、ゴルフ場のラフにも使われている。

野シバの葉は伸びても20センチ程度で硬くならないから牛はどんどん食べる。
ランナーから次々に新芽が出て、牛に食われても絶えることはない。
野シバは分厚いじゅうたんのようにがっちりと地表を覆い緑の放牧地になる。

山地酪農の牧場を見たことがあるが、そこでは牧草のタネをまいていた。
牧草を定着させるため、最初に除草剤をまいたり、
化学肥料を使ったりするのが一般的なようである。

少しだけ「むー」と思うのはわたくしが偏っているからであろう。

一般的な牧草は上に伸び、伸びると葉が硬くなる。
硬い葉はおいしくないから牛は食べない。そうなると草が倒れる。
人間が刈り取ってやればいいがそんな手間はかけられない。

野シバのじゅうたんが完成するまでには数年かかるが、
一度できてしまえば人の手をかける必要のない永続的な放牧地となる。
この緑の絨毯を起点に循環型の酪農が完成する。

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野シバのランナー。これを切ってちょこっと地面に刺しとくと、
根づいて新しい芽を出すので増殖も容易です。
牛にぎゅうむと踏みつけられてもへこたれません。

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野シバには花が咲いてタネもできますが、これで増えることはないそう。
ネットで検索してみると野シバは日本芝の一種で寒冷地に適しており、
成長は遅いが手入れは簡単、だそうです。



野シバの肥料は牛糞である。牛がところかまわず排泄するそれらは、
肥料となり、野シバと野草を育て、それが牛の食べものとなる。
そして人間に「牛乳」というステキな飲み物を与えてくれる。
いっさいのムダがないあるべき酪農の姿、ではなかろうか。

山地酪農はまた、森林の再生という役割も持っている。
管理のできていないヤブだらけの真っ暗な森に牛を放してみよう。
数頭放して数か月もすれば地面に生い茂っていたササなど全て食べてしまう。

牛が食べて入りやすくなった山には人間が簡単に入れるようになる。
そこで木を伐採し、おひさまが地面に届くようになると
今まで芽を出すことのできなかったものが新芽を伸ばす。

牛は大きな体で奥へ奥へと分け入っていき、ササや小さな木の葉を食べ、
人間はさらに木を切る。牛が下草を食べ尽くしたあたりで野シバを定植する。
この繰り返しで数年かけて荒れ果てた山や森林が自然な放牧地になる。
そして、牛は山を再生しながら牛乳という資源を産み出す。

なかほら牧場の牛たちはとてもしあわせそうに見える。
牛舎はないから雨や雪に降られっぱなしで濡れっぱなしだ。

一日中山を自由に歩き回り、朝と夕方、山から降りてきて
搾乳されながらビートパルプや焙煎大豆などのおやつにありつく。
搾乳が終わったら少しの間まったりして山に戻っていく。

日々その繰り返しだ。足腰は強く健康だから薬も必要ない。
この方法が日本の山を救うのではないか。とわたくしは思う。

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現在牧草地作成中。木を伐採して野シバを定植したところ。
牛は野草を食べてます。牛が苦手な茨などは人が取り除きます。
この牛は搾乳中じゃない牛なので、ずーっと山にいて
下草を食べてるそう。いやはや。牛って強いのだね。

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このような傾斜でも牛には4本足があるのでへーきです。
年を取った2本足のヒトにはちょっと危険です。ときおり見回って
茨などを刈り取ったりと手入れをする必要はありますが、
だいたい5年ほどでこのような牧草地ができあがります。



今年、神奈川県のどこかで牛を2頭飼って山地酪農を行い、
ソフトクリーム屋さんで生計を立てようとしているという女の子のニュースを見た。
彼女はなかほら牧場の卒業生らしい。

わたくしはFacebookでソフト部の副部長をしており
ソフトクリームのヒミツ(http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-495.html
も知っているが、都内で食べられるソフトクリームで
一番おいしいのは池袋東部と松屋銀座にあるなかほら牧場のものである。

ソフト部の部員でなくともソフトクリームはみんな大好き。
おいしいソフトクリームがあればどこにでも食べに行く、というか
行った先にソフトクリームがあればとりあえず食べる。それが日本人。

日世のコーンとノボリが立っていればそれはほぼ日世のソフトなのだが、
青い空と白い雲の下ではご当地ソフトに思えてしまう。
開放感があるのでソフトクリーム1個の料金が500円でも平気だ。
キャベツが500円だと「高い」と騒ぐがソフトならOK。それが日本人。

であれば、数頭の牛を飼ってしぼった牛乳を少し販売して、
あまった牛乳はソフトクリームに加工して1個500円で売れれば
ソフトクリーム屋さんで食べていくのは非常に現実的な話である。

このニュースを見たとき「目のつけどころがすばらしい!」とわたくしは思った。

酪農を始めるにあたっては搾乳機とかその他もろもろお金がかかるが
山地酪農は牛舎がいらないため、設備投資額はそんなに大きくはない。
持続可能な酪農方法だから、牧場が完成してしまえば手入れをするぐらいでOKだ。

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野シバの絨毯は数十センチにもなって地表を覆っています。
野シバは表土の流出を防いだり、保水したりもします。
これを利用することを考えた猶原恭二さんがスゴイのですが、
植物学者だからなのでしょう。



数頭の牛から付加価値ソフトクリームをつくって商売になる。
このモデルケースができれば小規模な山地酪農がどんどん増殖する可能性がある。
山地酪農のソフトクリームで地域活性も可能になるかもしれない。

人はおいしいソフトクリームがあるだけでそこに行こうという気になる。
そこにしあわせなジャージー牛が数頭いて、美しい緑の牧場で草を食んでいる、
それを見るだけで人もしあわせな気持ちになれるだろう。

大規模酪農で安価な牛乳を大量生産することも必要だが、
それは持続可能な方法ではない。ツケは見えないどこかにたまっていく。
だからと言って1リットル1188円の牛乳を毎日買うのはむずかしい。
しかし、たまの週末に500円のソフトクリームを食べるのはどうかな?

ソフトクリームが日本の山を救うかもしれないなんて、
とてもステキな、そしてあまーい夢ではありませんか?

早くオープンしないかな。
ソフト部として気合いを入れて応援することをここに誓うわたくしです。


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