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土佐の在来品種「牧野野菜」を食べてきた

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Byほんたべ

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潮江菜(高知県では潮江カブとも)。地元ではお雑煮に使われるとか。
鳥取でよく食べてた京菜に似ていて、京菜はもっと大株に作ってありました。
潮江菜も大きいそうですが、大株だと売りにくいのでこの大きさにしているそうです。



~日本植物学の父、牧野富太郎博士の贈りもの~
「土佐によみがえる牧野野菜」
(NPO法人伝統野菜PJ主催)に行ってきました。

「牧野野菜」とは植物学者・牧野富太郎博士の名前を冠したものであります。

牧野富太郎氏【江戸末期から昭和に到る94年の生涯において、
植物の標本約40万枚を収集、1,500種類以上の新種や新品種を命名した
「日本植物学の父」】(当日チラシより引用)

植物好きな方々に知らない人はいないというチョー有名人だそうですが、
食べられるものの花にしか興味がない、というか名前を知らないわたくしは
残念ながら存じ上げませんでした。うううううう。

その牧野富太郎氏があるとき、高知県の在来野菜のタネを探すように、
という指令を誰かに出し、数十年後にそのタネが高知県の農家、
熊澤秀治氏にわたり、在来野菜復活プロジェクト的なものができた
というような物語が「牧野野菜」にはあるようでした。

熊澤さんはその野菜に「牧野野菜」というわかりやすい名前をつけ
栽培する人々を「Team Makino」と名付け、現在にいたります。

さて、このような在来品種の野菜は日本各地に数多くありまして、
とくに有名でいい値段がついているものに京野菜・加賀野菜があります。
昨今ではその他の地域でも在来品種を見つけだし、ブランド化するという
一連の「地域活性」ついでに「六次化」的な流れが生まれています。

東京でも48品種の「江戸東京野菜」の栽培が行われています。
2020年のオリンピックに江戸東京野菜を! なんつー活動をしている方もいるようです。

在来品種には、農家所有の場合とジーンバンク取り寄せという方法がありますが、
ジーンバンクのタネは商用の使用が禁止されているとかで、
小学校の食育的な用途で栽培しているとのことでした。

そのタネを取ってもいいのかどうか、という疑問がわきましたが、
誰も答えてくれませんでした。言ってはいけないのかもしれません。
ということで今回試食させてもらったのは以下のような野菜です。

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焼き畑のかぶ。数十年前に仁淀川町で昔の焼畑農業を再現しようと焼いてみたら、
そこから生えてきたというかぶ。由来は誰にもわからない。
つーことで完成形も不明。不思議だなー。



潮江菜、田村かぶ、焼き畑のかぶ、山内家伝来大根、大道高菜、
唐人豆、八升豆、朝鮮豆、白いんげん豆、入河内大根

このほかにも在来のスイカ、きゅうりなどがあるそうです。

おおむねおいしい、というか料理研究家の方々が作ってくださっているため
料理自体の完成度が高くてすべてのものがおいしかったのですが、
とくに潮江菜はうまみがつよく、昔鳥取で食べてた京菜に似ていました。

入河内大根、田村かぶは繊維が残っていてジャリジャリしてたので、
そもそもがそうなのか取りどきが間違っているのかどちらかは不明です。

この試食でしみじみ感じたのは、在来品種だから全てがおいしい
なんてことはないこと、誰も作ったことのない野菜の完成形は
誰にもわからない、ということでありました。

農家のもとにタネだけやってきても、一度も作ったことのない野菜の
栽培方法も取りどきも、数回(数年)作らないとわからないものです。

さらに、固定種の野菜には生育にバラツキがあるのですが、
バラついているもののどれが正しいのかがそもそも不明なため、
次世代のタネを取るのにもどれを取ればいいのか困ります。

そのような苦労をしながら「Team Makino」は、牧野野菜の復活に取り組んでいるのでした。
すげーなー。と、素直に思いました。

そして、タネをどのようにとってるのか聞いてみましたら、
畑に植わってるもののなかで「良さそう」なものを別の場所に移植し、
花粉が交雑しないようカバーをかけてタネができるまで育てるのだそうです。

ひー。大変だよう。

しかも選抜すべきものがよくわからないなかでの選抜です。
そこんとこはもう割り切っているのだ、とおっしゃっていましたが、
そりゃそれしかないよなーとしみじみ思いました。

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ちまっとした試食の数々。全部おいしかったけど野菜の味はいまいちわからず。
ジャリジャリした触感は老化だと思うので取りどきが間違ってる気がするけど、
そこまで含めて楽しむという気合が消費者に必要ということかも。


農家にとって「残すべきもの」は「おいしくて生育がよいもの」です。
そこんとこは昔も今も変わりませんから、意外とその方法でいいのかもしれません。

わたくしはこの話を聞いて、大地を守る会時代に
固定種を作って欲しいと農家にお願いしたことを思い出しました。

大根をつくるのがうまい農家に大蔵大根の栽培を依頼したのですが
初めて作る大根のため、完成形、というか取りどきがわからず、
掘ってみたらワレていたり、葉が茂りすぎて混み合ったりと大変でした。

彼はその後わたくしに「もうつくりたくない」と言いました。
青首大根なら揃いも良くてこれくらいになったら収穫できるとはっきりわかるのに、
大蔵大根はバラツキが多くて面倒みなくちゃならなくてチョーめんどくさいのです。
そんな大根を一本150円とかでは作りたくないということでしょう。

在来品種が徐々に廃れF1が主流になった理由がここにあります。
熊澤さんもおっしゃっていましたが「昔の野菜が食べたいわ」的な
ノスタルジーではプロの農家は在来野菜は栽培できません。

その野菜を買って食べる人がいなければタネは続かないのです。

ちなみに在来品種のなかにもF1のタネはありますが、
「F1の野菜を食べると無精子症になるから在来品種を」と言っている方々は
このことをご存知なのかしらと思ったりします。

ともあれ、牧野野菜を継続するためには誰かが食べなくてはなりません。
食べるべき人たちは主に高知県の方々ではないかと思います。
都市部に流通するには送料がかかり、一個あたりの単価が上がりますから、
JAがまとめて出荷とか、主体的に取り組むとかでなければ大変です。

さらに、在来品種はそれぞれの野菜にとてもステキな物語があるのですが、
物語のみで、毎日食べる野菜にはなるのはかなりむずかしいでしょう。
今後、そこんとこをどう広めていくか。遠くから応援したいと思っています。

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とくに豆についてはカンタンに増殖できるため、うっかり渡すと
野放図に増殖してわけわかんなくなる的なことがあるらしいのですが、
まあ、そうだよね、と思いつつ、なんかちょっと。。。北海道の在来豆の
物話とか知ってるとちょっと。。。。。って気がしました。



ところで熊澤さんは「作りたいと言う人が多いが、どんな人に
タネを渡せばいいかいろいろ考えている」とおっしゃっていました。
在来種などの固定種はタネを取れますから、無限に増殖することが可能です。

「牧野野菜」をブランド化するにはタネの配布は限定的にする必要があります。
野放図につくられるとブランドにはならないからです。
これは山形県のだだちゃ豆などでも同様のことが行われています。

「ブランド」になった瞬間に「知的所有権」がタネに乗っかるのです。


こういうことを言うと怒られるでしょうが、わたくしはこれを聞いて
少しガッカリしてしまいました。今まで気づいていませんでしたが
わたくしは無意識に「タネはみんなのもの」と思っていたのでした。

地域に伝わる在来種などはとくにそうあるべきだと。

しかしまあこれこそがノスタルジーかもしれません。
在来品種を広げるためには、ブランド化して認知度を上げ、売れること。
そうなって初めて農家が安心してつくることができるのです。

そうしてタネの旅は今後も続くのです。

わたくしは、まだまだと言うか全然あまいのだなー。
そこにガッカリ。


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