天敵利用で有機栽培 埼玉県 瀬山明さん

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Byほんたべ

5月上旬、畑の作物にアブラムシが増えてくるころ、
天敵のテントウムシも越冬から目覚めます。

幼虫
かわいい成虫からは想像がつかないような怪獣のような幼虫。
有機農業を営む農民にとっては、力強いヘルパーさん。


テントウムシは成虫のまま越冬する昆虫。
温かい石の下から出てくると、交尾して産卵します。
孵化した幼虫はサナギになるまでアブラムシを食べ続けます。

畑にアブラムシが見られるようになるのは、ちょうど5月上旬から。
エサが豊富にあるこの時期にテントウムシの産卵が始まる…うまくできていますね。

テントウムシのこの性質を利用して有機農業に利用しているのが、埼玉県で有機農業を営む瀬山明さん。
毎年5月、テントウムシが越冬から目覚めるころに大量に捕獲し、自分の畑に放しています。

捕獲中
お手製の捕獲器で効率よくテントウムシを捕獲。
家族4人だと一日で1000匹は軽いとか。


「初めて試したのが2005年。1200匹のテントウムシを河原で捕ってね、定植したナスの畑に放したの。
いつもはアブラムシがけっこうとりついてうまくないんだけど、この年は初期生育がよくて、収量も上がった。
あんな小さな虫だけど、ちゃんと役目をはたしてくれるんだよねえ」

それ以来毎年、5月のテントウムシ捕獲は瀬山家の恒例作業になりました。

成虫は飛んで行ってしまうテントウムシですが、幼虫は作物の下から上まで移動しながら
そこにいるアブラムシを旺盛な食欲で食べ続けてくれます。

捕獲器
100円ショップで購入した資材を使ったお手製の捕獲器。
埼玉県の天敵研究会でも、発表されたとか。


捕れた
捕れました~。がんばって働いてね~。

越冬したばかりの成虫を捕まえ、自分の畑に産卵してもらうことを思いついた瀬山さんは、
非常に勉強熱心な人。その畑では埼玉県の天敵の研究に、協力をしたこともあります。
その研究者とは今でも情報交換をしていて、天敵関係のアドバイスを受けることも。

「ウチの畑にはいろんな人が来るよ。いろんな人の話を聞くのは面白いし、
何か新しいことを試すのも面白いよね~。
今、古い家の蔵を改装して、イベントスペースを作ったりしてるの。
そこでヨガやったりね。楽しくなくっちゃ、農業もふだんの生活も」

緑肥
使わない畑では緑肥を栽培。紫色の花が美しいアンジェリアは、春先にすきこみます。

長年有機農業を営んできた瀬山さんですが、2002年には有機JAS認証を取得しました。
有機JASでは使える農薬もありますが、瀬山さんは一切の農薬を使いません。

作物の生育ステージごとに必要なものを観察して与える「栄養周期説」を基本にした栽培は、
長年の土づくりとも相まって、単に安全なだけではない、本当においしい野菜を生み出しています。
科学的な農業を目指し、土壌分析診断に基づく施肥設計も行っています。

最近は農業経営を息子の公一さんにまかせ、地域の活動に余念がありません。

瀬山親子
瀬山さんと息子の公一さん。「農業はできるだけ省力化」 
天敵利用や緑肥の使用などはその一環。知識がないと実現できない農業ですね。


何年か前から、リタイアしたおじさまたちを対象に、有機農業塾を始めました。
思いのほか熱心なその方たちの熱意を汲み、今後は趣味ではなく仕事として流通団体に出荷しようと目論んでいます。

テントウムシの利用も地域の活性も「楽しくなくちゃ」という瀬山さんの信条から生まれたもの。
今年は天候不順で作業が押せ押せになったため、まだテントウムシを捕獲していませんが、
出荷が一段落したら、テントウムシ捕獲に繰り出す予定です。

クローバ
畑の通路に植えてあるのはクローバー。
コナガを捕食するゴミムシがここで増殖します。天敵を増やすしかけも余念がありません。


小さな昆虫の力を借り、自然の力を利用して営む有機農業。
そんな瀬山さんの畑で採れる野菜は、とってもおいしくてエネルギーにあふれています。



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