FC2ブログ

有機JAS取得はビジネスとして-南国農園・甲斐太さん

author photo

Byほんたべ

IMG_8733.jpg
甲斐太(かいふとし)さん。若いですねー。わたくし若い人と久しぶりに話しました。


有機の町として名高い綾町には新規就農者がたくさんいるはずだ、
と、わたくしはなんとなく思っていた。
なにしろ「有機の町」である+新規就農者は「有機農業」を目指す人が多い
=「綾町には新規就農者がたくさんいる」って感じ。

ということで、アテンドしてくださった元編集の方に「半農半Xではなく、
有機で新規就農でバリバリやってる人を紹介してください」とお願いした。

しかし予想に反して「バリバリやっている」という人は少なかったようだ。
理由は、綾町に住んでいないわたくしにはよくわからない。

元編集者がおっしゃっていた「綾町はお金があまり無くても暮らしやすい」からか、
野菜の売り先がなかなかないからか、またはあちこちで漏れ聞く、
綾町では有機の新規就農者には「青年給付金」が出にくいからかもしれない。

昨今賛否両論ある「青年給付金」(現在は「農業次世代人材投資資金」)
という制度がスタートしたのは2012年頃だったように記憶している。

当時どのような応募要項だったか検索しても出てこないのでよくわからないが、
現在も「準備型」と「経営開始型」という2種類があるのは同じだ。
有機農業を目指す&すでに取り組んでいる新規就農者に、申請した人は多かった。

当時「3年で300万の売上を上げられる事業計画を作成しろと厳しく言われている」と
給付金を申請した新規就農者に聞いたが、自治体によっては
ぼんやりした事業計画書で給付したところもあったらしい(伝聞情報)。

そして計画通りに行かず、給付金を生活費にあてるなどして
失敗した人も多くいたようである。とくに有機農業を目指した新規就農者に。

というような事情があってか、綾町では「農業次世代人材投資資金」は
有機農業よりも施設園芸や慣行栽培を目指す新規就農者に優先的に給付されているようである。
給付金は税金だからしょうがないとは言え、悲しい話ではありませんか?

さて、そんな綾町で「農業次世代人材投資資金」の給付を受けずに新規就農し、
就農2年めで900万弱の売上をあげている南国農園さんに行ってきた。

IMG_8712.jpg
青い空、白い雲、南国宮崎!!! って感じの看板を撮ってみた。
南国ならではの虫害が多いそうで、関東とかとは全然違うんだろなー、
越冬昆虫もめっちゃいそうだし、などとしみじみ思いました。

IMG_8723.jpg
従業員のお二人とともに。3人で2.5ヘクタール(ハウス1反)、
ということは2.4ヘクタールが露地。そして少量他品目。って大変じゃないかなー。
と東京に帰ってきてから思いました。



南国農園の園主・甲斐太(かい ふとし)さんは39歳だ。

東日本大震災のあと、父親が亡くなり宮崎に戻ってきた。
しばらくは太陽光パネルの販売をやり、かなり売上を上げたそうだ。
震災時の原発事故の影響、被災地の食料のことなどの問題もあり、
エコや有機に関心があった甲斐さんは、35歳のとき農業の道を進むことにした。

1年目は慣行栽培のきゅうり農家で、2年目はたんじゅん農法の山口農園で研修し、
3年目に山口農園の近くの自然栽培の農家から8反の農地を買い上げ独立した。
農業経験は5年め、独立して3年め。大規模単作ではなく少量他品目栽培である。

南国農園では山口農園さんで学んだたんじゅん農法を実践しており、
肥料は廃菌床とその他チップなどの炭素分のみである。
上に置くのではなく、表層10センチ程度に撹拌しているが、チッソ飢餓は起きていない。

「微生物ってすごいですよねー」と甲斐さん。

慣行栽培をしていた畑を有機に変えると、当初病虫害が頻発する事が多い。
これは、化学肥料や農薬の影響で微生物相が貧弱になっていることが多く、
土に有機質肥料を入れても分解する力が足りないことが原因だと考えられている。
しかし甲斐さんは自然栽培の畑を選択したため、虫害はまだまだあるが大きく困ってはいない。

3年めにして従業員は2人。お給料もそれなりに支払えている。
2.5ヘクタールの畑(うち1反がハウス)を自分も含め3人で回しているが、
このうちの1.7ヘクタールが有機JAS取得圃場だ。

「僕の有機JAS取得は、純粋にビジネスです」と甲斐さんは言う。

「有機JASのメリットは、スーパーに営業に行く際に話が通じやすいこと。
有機JASの野菜と言うと、担当者に話を聞いてもらいやすいんです」

畑の前の持ち主が自然栽培だったことから、有機JASはすぐに取得できた。
売り先は県内のスーパーだ。まったくツテはなかったが自分で営業した。
拠点の統括担当者に営業をかけたため、話がまとまると
系列のスーパー数店舗に置いてもらえる。売り先は順調に増えていった。

「せっかく売り場に置いてもらえても、野菜がないと困るでしょう。
だから、端境期ができるだけないよう、できるだけ周年で野菜が出せるよう、
栽培品目を選択しています。季節を通じて5~6品は出せる態勢。
スーパーで売るには、そういう努力が必要だと思います」

IMG_8720.jpg
ハウスのなかではズッキーニが大きくなっていました。なんかもうすぐ出せそうな。
5月上旬にズッキーニ出せるんだなー、南の国の栽培のサイクルがピンとこないわたくし。

IMG_8722.jpg
ミニトマトはあまり高くしないでわっと取って終わってしまおうかと思っている、と甲斐さん。
そう言えば宮崎はハンパない台風も来るし、ハウスとか管理が大変そうです。



綾町の農産物直売所・ほんものセンターにも商品を置いているが、
最初は引退したお年寄り農家や趣味の園芸的な農家の価格破壊に困ったそうだ。
これは直売所で必ず起こることで、新規就農者が必ず突き当たる壁でもある。

しかし他の人が出している時期に同じものを出すから価格が下るのだから、
甲斐さんは、売られている野菜をよく見て「自分しか出せないもの」を出すことにした。

「今ではそれなりの値段で売れています」。

最近は、ある大手スーパーから「出荷してみないか」と話が来ているそうだ。
まとまれば大きな話になるため、これからの体制を考えている。
県外の売り先を考えることもあるが、宮崎県という位置がネックだ。

「送料が高いのと、関東に送るにはどうしても中一日かかってしまいます。
ネットで野菜販売を立ち上げようとしてるところなので、
そのあたりをどう考えていくか、悩ましいところですよね」

今後は畑を広げて従業員数も増やし、有機野菜を供給していきたい。
売り先が広がれば畑も増やせる。そのためにもっと営業もしていきたい。
甲斐さんの夢は大きい。

研修していた山口農園さんの取り組みはすばらしいと思うが、
販売価格が安すぎると感じていた。新規就農者はそれではやっていけない。
だからこそ「有機JAS認証」というわかりやすいメリットが必要だと考えている。

有機JASマークに「ビジネスとしてわかりやすい記号」という捉え方があるのだと、
わたくしはしみじみと感心してしまった。
今まで、とくに野菜農家に「有機JASに何のメリットがあるんだ」という話をよく聞いていたからだ。

柑橘類などの果樹類で「有機JASマーク」が営業的に非常にうまく機能する例はあるが、
もしかしてこれからはそういう例が野菜でも増えるのか、そういう時代になったのか、
これが有機農業界隈の方々の言う「有機が今来ている!」ということなのか。

炭素循環農法は農業技術として有効だと思うが、そもそもは思想的なものである。
甲斐さんはその農法を実践しつつも、ビジネスとしてわかりやすい有機JAS認証を取得している。
とてもバランスの取れた考え方ができる人なのだとわたくしは感じた。

さらに、営業がうまい人なのだろう。営業の際の目のつけどころがすばらしい。
農業以外の経験を持つ人が自らの経験をうまく活かしている。

半農半Xではなく、有機農業できちんと食べていける新規参入者・南国農園・甲斐太さん。
今後も応援していきたいわたくしです。

南国農園フェイスブック・ページ
https://www.facebook.com/nangokufarm/
WEBサイトは現在絶賛作成中だそうです。

関連記事
Share

Comments 0

Leave a reply

456789'.split(''),s='';for(var i=0;i