種無しぶどうに続く絶滅危惧種「むかーしながらのすもも」

author photo

Byほんたべ

001_20180702114451816.jpg
わたくしが世の中で一番好きだと思っていたすもも「サンタローザ」。
だいたいこれぐらいの色づきで出荷され、すっぱいためたいして評価されませんが、
紫色になるほど熟すと洋梨のようなフレーバーが出て全く別のすももになります。
しかしお店では物流の都合でそういう熟度のものは売られてません。ほんとに残念。



みなさまはすももはお好きですか?

この時期のスーパーで売ってるのは「レッドエース」「サンタローザ」とかでしょうか。
たんに「プラム」としか書いてないかもしれません。

他地域のことはよく知らないのですが、山梨県の出荷スケジュールでは、
6月中旬に大石早生の出荷が始まり、8月上旬に太陽が出て終わりって感じです。

それぞれのすももの出荷ピークは約1週間。シーズン中は次々に品種が移り変わります。
大地を守る会のすもも担当の仕事はまず品種名を覚えることでした。
つーことで、わたくしの主観バリバリ「すももの品種」をご紹介します。

大石早生 ハート型でピンク色のかわいいすもも。熟度が上がると味がボケます。
緑色で先っぽがちょこっと赤くなったら収穫、という目合わせがされています。

レッドビュート おいしく作ればおいしい品種ですが、大玉にしようと肥料をたくさん入れると
味が限りなく薄くなり「上善如水」と品質管理の担当に言われたことがあります。

紅りょうぜん 紅色の美しいすもも。果肉かため。わりと好き。

レッドエース 果皮も果肉も真っ赤なすもも。とくに個性がないと言うか、すももらしい味。

サンタローザ 赤いうちはすっぱいけど果皮が紫色になってくると洋梨のような芳香が出るすんばらしいすもも。
しかしお店には紫色のサンタローザは売ってなくて常にすっぱく、人気はありません。
そのせいか「サンタローザ大好き!」とすもも農家に言うと「変な人」と言われます。

フームサ 通常は受粉樹として使用されます。大石早生の親で、
熟度が上がると味がボケます。大石早生のこの性質はフームサから来ていると思います。

菅野中生 熟すと透明感のあるピンク色ですが、透明感のある黄色に
ちょこっとピンク色が混じってる程度で売られています。食感がちょっと粗いかなー。

大石中生 甘くてジューシーでおいしいんだけど果皮が薄く、運ぶ途中にアタリが出やすいため
誰もつくらなくなった品種。今作ってる人がいたら食べさせてください。

月光 涙型した高級すもも。つくりにくいのでほぼ絶滅危惧種。
7年ほど前に明治屋に売ってるのを見かけたけど1個500円くらいだったような。

ソルダム 果皮が緑色で果肉が赤い状態で売られていますが、果皮が緑色のうちは熟していません。
樹で赤くなったソルダムのおいしさはすんばらしく、わたくしソルダムを見誤っていました。
昨今の高級すももがどっかにぶっ飛びます。今後一番好きな品種はソルダムになりそうです。
早生と普通、レートソルダムと3つ品種があるので長いこと出荷されてます。

106.jpg
今年からわたくしが一番好きなすももになった「ソルダム」。
まだ果皮が緑色なので熟していませんが、これぐらいの色づきで収穫されます。
出荷されたあとに赤く色づき店頭では赤くなっていることがありますが、
木で赤くなったものとは味が全然違います。気づくのに何年かかったんだと
すもも農家に笑われました。サンタローザに夢中だった自分を反省。



バイオチェリー 昨年初めて食べたチョー小粒のすもも。めちゃくちゃおいしい!
ジャムにしても酸味がなくてすんばらしいのですが、苗は受粉樹として売られてるとか(泣) 
小粒のすももは手間が大変だから誰もつくらないよねと農家も言ってました。悲しい。

貴陽* 大玉で味が濃く数年前まで3個で1000円とかだった高級すもも。
立木栽培の人と棚栽培の人がいます。数年前よく盗難事件がありました。

太陽 真紅で大玉、果肉が黄色い以前の高級すもも。味が濃くておいしいけど
ほぼ早取りされてるのですっぱいものしか食べたことがありません。

秋姫* 黄色いすもも。農家の試作品を食べさせてもらったら、夢のようにおいしかったけど
あの人は秋姫をどこに出してるんだろう。

ケルシージャパン 来年食べさせてとお願いしてたら木を切っちゃった(泣)
ものすごーくおいしいという噂。その後店頭でも見かけたことなし。

このうちのがついてる品種は高級すももです。
価格が高いため、若い人もつくっています。
しかし、それ以外の品種、たとえば大石早生とかサンタローザなどは
実はお年寄りが主たる生産者であります。

すももの世界はぶどうなどに比べ、生産者の高齢化がビシバシ進んでおり、
今つくっている人がいなくなるともしかしたら誰も作る人がいなくなる恐れがあります。
とくに高級じゃないむかーしからの品種、そして7月に入ってからの品種は。

なんつー話は数年前から山梨県とかの一部で話題になっており
わたくしは知り合いのすもも農家と会うたびにその話をします。
なぜむかーしの品種を若い人がつくらないかというと、
かけた手間に見合うほどのお金にならないからです。

その理由はすももの大きさです。

011_2018070211445252b.jpg
たとえばさくらんぼのように粒の小さなくだものをなぜたくさんの人がつくるかというと、
単価が高いからです。贈答用だとkg最低でも6000円くらい稼げます。
しかしすももにkg6000円払う人はいないでしょう。しょせんすももなのですから。
つーことで誰もつくらないバイオチェリー。さくらんぼみたいでおいしいのになー。



たとえば桃は1つ300g程度です。3つでだいたい1kgになります。
大田市場の市況を調べてみたら、山梨産桃の高値・kg2,160円、安値では216円でした。
中値は648円ですから、まあそんなもんかなって感じです。

これがすももだとどうでしょう。すもも一個はだいたい70~80gです。
1kgにするのに13個必要です。桃なら3個のところ10個も多く、
そして大田市場の市況にはデータすら掲載されていませんでした(泣)
昨年の数字では6月でkg800円。7月に入るとkg650円程度になっているようです。

6月と言えば主品種は大石早生、レッドビュートとかでしょうか。
早生品種の価格がいいのはりんごもぶどうも同じですから、
それ以外はたいして儲からないと言えるかもしれません。
これでは新しく植えてつくろうという若者がいないのもうなづけます。

そもそもすももは小さく作ると儲からないので、大玉に作りたいものです。
大玉にするのは意外とカンタンで、肥料をたくさん入れれば玉は大きくなります。
しかし肥料が多いと味はイマイチになりがちです。

とは言え、すももという果物はそもそも熟度が上がると傷みが出て運べないため、
かなり早取りされている、ってなことを考えると、そもそもの味がどうなの?
って話ですから、肥料が多くて大玉にして味がイマイチでも全然OKなのかもしれません。

おいしいすももは畑で食べるか農家に直接送ってもらうしかない
などと思うと、すももの衰退は致し方ないのかもしれません。

昨今では種ありぶどうがどんどん減っており、絶滅危惧種と言ってもいい気がしますが、
種無しぶどうは残るため、ぶどうそのものがなくなることはありません。
しかし、すももの場合は存在そのものが危うくなるのではないかと思います。

そして、そのような危機感をほとんどの人が感じていない、というところに
「すもも」というくだものの悲しさがあるのではないでしょうか。
以前のわたくしは大石早生とソルダム以外の品種を知りませんでした。
たぶんほとんどの人がそうでしょう。すももに品種名なんてあるんだーって感じです。

先週末わたくしは、山梨の自然農法のすもも農家のところにサンタローザを取りに行き、
木で熟したすももをたらふく食べ、ソルダムの味の濃さに驚愕して自らの認識を改め、
さらにJAに出荷する農家のすもも畑で「葉っぱがまっさおで肥料が多くて大玉でいいね!」
なんちて言いつつ、すももはもしかしたらあと数年で絶滅するかもと思ったのであります。

残念だけど、そもそもそういうくだものなのかもしれないですね、すもも。



関連記事
Share

Comments 3

H2  

自分でつくれば食べられる...かも

この春から実家で果樹の鉢をいろいろと作っています(Uターンはまだしてません)。来春までに20品目弱40本程度を揃える予定で。半分趣味ですが、見極めたのちにさらに数を増やそうかなと考えています。スモモは食べるのは好きですが(といっても買うのは年に数パック)、桃・梨などとともにリストには入れていません(ただしプルーンは予定)。子供の頃は畑に1本あって食べていましたけど、確かに完熟したものはお店に並んでいるものとは違いますね。そういうもの多いですよね。足が早すぎて流通しないものもいろいろありますし。あと、かかる手間ほどの価格ではとても売れないからお店では売ってないものも。

集合住宅住まいでも、ベランダがあれば果樹鉢の1つ2つは試せるので、ベランダ菜園の流れで果樹栽培ももっと一般化したら、消費者の理解も少しは深まるかもと思いますが、病害虫に弱くて手がかかりすぎるものは手に負えないですね。

スモモは食べ放題のスモモ狩りはどうかなと読んでて思いましたが、どんなもんなんでしょう。元が取れるほどには食べられない感じがしますが、でも林檎や梨も大して食べられません。まぁお客さんを直接相手にするのはいろいろと面倒なことも多いので、やりたくない人は多いかもしれませんが。

2018/07/05 (Thu) 07:14 | EDIT | REPLY |   

ほんたべ  

Re: 自分でつくれば食べられる...かも

H2さん、こんにちは。

> この春から実家で果樹の鉢をいろいろと作っています(Uターンはまだしてません)。来春までに20品目弱40本程度を揃える予定で。半分趣味ですが、見極めたのちにさらに数を増やそうかなと考えています。スモモは食べるのは好きですが(といっても買うのは年に数パック)、桃・梨などとともにリストには入れていません(ただしプルーンは予定)。子供の頃は畑に1本あって食べていましたけど、確かに完熟したものはお店に並んでいるものとは違いますね。そういうもの多いですよね。足が早すぎて流通しないものもいろいろありますし。あと、かかる手間ほどの価格ではとても売れないからお店では売ってないものも。

自分でつくるとはうらやましい。
すももはおいしくないのができると食べる気にもならないので、
確かにつくらなくていいかも。

というより、落葉果樹は鉢植えでも難しいのでは。
受粉が必要なものもあるので。
でも自分でつくると楽しいでしょうね。


>
> 集合住宅住まいでも、ベランダがあれば果樹鉢の1つ2つは試せるので、ベランダ菜園の流れで果樹栽培ももっと一般化したら、消費者の理解も少しは深まるかもと思いますが、病害虫に弱くて手がかかりすぎるものは手に負えないですね。

そういう意味ではゆずやレモンなどはオススメです。
テキトーにつくっても実がつくらしいです。

しかしアゲハが来て丸坊主にされちゃうらしいですから、
芋虫が嫌いな人には無理かもしれませんねー。
あとは木苺とかブルーベリーとか簡単そうです。

>
> スモモは食べ放題のスモモ狩りはどうかなと読んでて思いましたが、どんなもんなんでしょう。元が取れるほどには食べられない感じがしますが、でも林檎や梨も大して食べられません。まぁお客さんを直接相手にするのはいろいろと面倒なことも多いので、やりたくない人は多いかもしれませんが。


すももは熟期が毎年違うので、桃と同じで「狩り」の日程調整がむずかしく
「狩り」の候補にすら上がらないのだと思います。

切れ目なく収穫できるよう品種構成で植えてある桃でも
土日には何も取れない、みたいなことがあります。
桃狩りやってるところを見つけると
どういう品種構成でやってんだろとか思っちゃいます。

消費者の立場から見ると、1,000円食べ放題すもも、に
魅力を感じるかどうかでしょうね。

すももはどんなに甘くても5個でお腹いっぱいになります。
5個で1000円。お土産は別料金。
消費者も農家もやりたがらない金額だと思います。

2018/07/06 (Fri) 06:23 | EDIT | REPLY |   

H2  

Re: 自分でつくれば食べられる...かも

剪定以外の手作業が多い品目は避けていますよ。品種ごとの特性も調べて選び、自家結実性のないもの・弱いものは複数品種用意して、鉢はNPポットの45Lか60Lを使っています。できれば鉢替えをしないで済ませたいのですが、土の配合は保水性、排水性、保肥性、通気性、が大事と背反するようなことを求められ、その中で品目によってどっち寄りというのがあるし、軽さもコストも考慮しないといけないので、なかなか難しいです。何年か経たないと結果はわかりませんが。

ゆずやレモンは実付きで鉢仕立てのものを今時期売っていますね。ただフルーツとしてそのまま食べられないのが難点かもです。果汁をバニラアイスにかけて食べると絶品ですが。レモンは頼まれたので予定していますが、寒害に強くてそのまま食べられる柑橘で少し変わったものを逡巡中です。

ブルーベリー、ブラックベリーはすでに鉢をつくりました。個人的に楽しみにしているのがアセロラ、むかし庭に木があった懐かしさでヤマモモ、確実な収穫目当てでイチジクやキウイ、そのほかオーソドックスなものから珍しいもの、マイナーなものまでいろいろと。

フルーツ狩りはブルーベリーは消費者も生産者もWin-Winになりやすいと思うんですが、適性のある品目は限られそうですね。その上、トイレとか駐車場とか簡易店舗とかの整備でコストがかかりますし。

2018/07/07 (Sat) 06:18 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

456789'.split(''),s='';for(var i=0;i