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ゲノム編集作物が「カルタヘナ法」の適用外になったら困るんじゃないかなーと思う件

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Byほんたべ

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ゲノム編集では現在「肉厚の鯛(マッスル真鯛)」とかで筋肉量が多い鯛が作られていて報道もされています。
このメリットは鯛が安価で食べられるようになる・養殖で資源の枯渇を防ぐなどが挙げられます。んで、
今回の環境省の方針では、この鯛を飼育する場合「カルタヘナ法での規制はしない」ってことになりました。
遺伝子を改変した生物、あるいは植物を規制なく環境中に放出しても大丈夫なのかなー。
※写真は天然の真鯛の昆布締めで、ゲノム編集鯛ではありません。



ゲノム編集とはWikipediaによると次のようなものです。

【ゲノム編集(ゲノムへんしゅう、英: genome editing)とは、
部位特異的なヌクレアーゼを利用して、思い通りに標的遺伝子を改変する技術である】

科学にうといものには「なんすか? それ」であります。

ゲノム編集作物は、誤解を恐れずわかりやすく言うと
「遺伝子を改変して作るけど外部からの遺伝子を導入しない遺伝子組み換え作物みたいなもの」
ってな感じでどうでしょう。もちろん上記の鯛のように生物も作られています。

ゲノム編集は医療分野でビシバシといろいろなことができるため、
「夢の技術」などと言われていますが、実は農業分野でも同様です。

遺伝子組換えで作られていた除草剤耐性作物もゲノム編集で作ることができ、
従来の遺伝子組換えよりもかなり安価、しかも大学や企業のラボでも可能な技術ということで
将来的に品種改良はゲノム編集で行われるようになるのではないかと思います。

品種改良とは、任意の品種と品種を掛け合わせ、それが大きくなるまで育ててみて、
理想とするものができたらできたで何年か育ててその性質が固定するかどうかを見て、
選抜による選抜を重ね、10年後くらいにやっとできる、みたいなべらぼうな時間がかかります。

しかしゲノム編集は、遺伝子のここんとこをちょっと改変して的な作業で
確実に欲しい性質のものを作ることができるため、コストも時間も大幅に削減できます。
わたくし的には地球温暖化の対策などで今後早急に品種改良が必要になる場面があると考えており、
まさにゲノム編集がその大きな役割を果たすことになるんじゃないかなんちて思っています。

が、しかし。

「遺伝子を改変した作物」は環境に悪影響は与えないのか、安全性はどうか、
そういったことを考える必要はないのか、そういう疑問も湧き上がります。

さて、現在の日本では遺伝子組み換え作物は4つの法律で縛られています。

まず食べものとして使用される場合の表示を含めた「食品衛生法」
畜産飼料として使われる場合の「飼料安全法」、そして食品安全基本法です。
ちなみにインスリンなど医療で遺伝子組み換え技術が使われる場合は「薬事法」があります。
これらの法律で、遺伝子組み換えされた作物や薬の安全性を担保しているのです。

さらに、遺伝子組み換え作物を栽培したり組み換えた生物を用いたりする場合
野放図に使用されると交雑や交配など、環境の生物多様性への影響が懸念されますから、
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」
(通称「カルタヘナ法」)
で規制されています。

とてもわかりやすいサイト→「ご存知ですか? カルタヘナ法」
http://www.biodic.go.jp/bch/cartagena/s_03.html
文科省の資料「カルタヘナ法について」
http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1766_01r2.pdf

農水省のサイトには以下のように書かれています。
「カルタヘナ法の目的は、遺伝子組換え生物等を使用等する際の規制措置を講じることで、
生物多様性への悪影響の未然防止等を図ることです。カルタヘナ法では、
遺伝子組換え生物等を用いて行うあらゆる行為のことを「使用等」とし、
使用形態に応じて「第一種使用等」と「第二種使用等」とに分け、
それぞれの使用に応じて、とるべき措置を定めています。」

http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/about/

これらの法律で「OK」とされたものが現在の日本で流通したり試験栽培したりされていますが、
日本ではなぜか認可されたものでも商業栽培はされていません。農業者の反対が大きいからです。
つーことで、遺伝子組み換え作物には法的な規制があり、安全性も担保されています。

これは「1990年代に生まれた新しい技術に対する慎重な姿勢」と言えるでしょう。

そのため、ゲノム編集でできる作物も生物も同様の規制措置が取られるだろうと
なんとなく皆が考えていたところ、環境省の検討委員会で「カルタヘナ法の適用外」
という驚きの方針が出されました。理由は、外部からの遺伝子が入っていないゲノム編集作物は
従来の突然変異と同じだから。なんて感じです。

外部の遺伝子を使ってないから突然変異と同じ、と言われると確かにそうかもと思えますが、
人為的に遺伝子を改変させた作物が環境中に野放図に放出された場合に、
交配・交雑によって何が起きるのかは誰にも予測できません。

現時点で標的とする配列以外のゲノム領域に、意図しない突然変異が導入される問題
→オフターゲット効果
というかなり大きな問題が指摘されています。問題はあるのです。
であれば、もう少し慎重にすべきではないかと思うわけです。
一度環境中に放出され、何かあったら取り返しがつかないからです。

現在いろいろなところでこの環境省の判断はどうなの? と言われていますが、
なぜか消費者にも農業者にもピンと来ていない気がするのはわたくしだけでしょうか。

今話題になっているのは「遺伝子を改変したものをカルタヘナ法で規制しなくていいのか」ですが、
環境省の原案がそのままになると、今後厚生労働省で検討が始まる表示とか安全性の担保とかに
影響を与えることが懸念されます。表示がなくなったらヤダなと思うのはわたくしだけではないでしょう。

わたくしはゲノム編集作物については、消費者よりまず農業者がどう考えるか、が大切な気がします。

規制されない=自分の畑の隣でゲノム編集で改良された作物が栽培さきるということです。
ビタミンBがやたらと多い米とか除草剤耐性大豆とかが、自分の畑や田んぼの横で栽培されますよ
ってことです。おそらく近日中に「収量が3倍になる飼料米」とかがデビューするでしょう。

ゲノム編集で作られた作物は遺伝子組み換え作物のように痕跡が残らないため、
一度環境中に出てしまうと追いかけることができません。
知らないうちに交雑しても交雑したことすらわかりませんから、
在来品種とか種取りとかしてたらちょっとイヤな気がするんじゃないかと思いますがどうでしょう。

遺伝子組み換え作物はヒトが食べ始めてすでに20年ほど経っており、
日本人は毎日アホほど食べていますが、アレルギーなどの健康被害は出ておらず、
安全であると考えられています。海外ではすでに20年以上にわたり商業栽培されており、
ないと言いつつスーパー雑草の発生とかなんだかんだ問題が発生しています。

つまり食べものとしては20年の食経験があるのでまだ良しとしても栽培はどうなのか。
まだはっきりとわかっていないと言えるのではないか。であれば遺伝子組み換え作物同様に
慎重な判断が必要ではないかと思うわけです。慎重な判断とは「法的な規制」です。

ゲノム編集は作物だけでなく、牛や豚などの生物でも積極的に行われています。

今いるのは「筋肉が多くつくタイ」とかですが、養殖(閉鎖系)ではあっても環境中に放出されますから
何かあったらヤな感じです。「筋肉が多くつくタイ=突然変異」と言われてもなんか釈然としない。
自然界であればたちまち淘汰される存在だろうと思うからです。

わたくしはやはりカルタヘナ法なり新しい法律なりで規制する必要があると思います。

環境省では現在パブリックコメントを募集しており、意見を言う機会は今しかありません。
https://www.env.go.jp/press/105960.html
パブコメは【意見]・該当箇所(どの部分についての御意見かがわかるように、
項目番号を付すなど、該当箇所を明記してください。)・意見内容 ・理由
(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記してください。)】とありますから、
該当箇所は「1 カルタヘナ法の規制対象範囲について」
意見は「自分の畑の横で知らない間に作られるのはイヤ」とかでいいのではないかと思います。

ゲノム編集について詳しく知りたい方はわかりやすいこの本がおすすめです。
文字数が多くなるため説明を少しはしょりましたから、ぜひお読みください。

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