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遺伝子組換え表示が厳しくなって消費者はハッピー・・・なのか? 

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Byほんたべ

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当日の消費者庁資料「新たな遺伝子組換え表示制度に係る内閣府令一部改正案の考え方」より。
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/181010_shiryou4.pdf
たーいへんだよー加工品メーカー。包材の変更とか輸入先の変更とか書類とか分析とか。


「遺伝子組換え食品の表示制度に関する情報交換会」に行ってきました。

以前「遺伝子組換え食品表示」のマイナーチェンジが意図せざる方向に(゚∀゚)
で書いたとおり、遺伝子組換え表示が非常に厳しくなりました。

日本での遺伝子組換え作物は、IPハンドリング(分別生産流通管理)で流通していることから
「意図せざる混入」が起こる可能性がありますが、これが5%以下なら
一括表示の原材料欄で「遺伝子組換えでない」という任意表示が可能でした。

IPハンドリングとは有機JASのようにラインを分けるとか倉庫を分けるとかの
厳密な運用方法ではない「書類上の運用」のため、実物に汚染が起こる可能性があります。
「汚染」とは「コンタミネーション」いわゆる「コンタミ」のことです。
日本語でわかりやすく「汚染」にしてみたらヤな感じなのでこれ以降「コンタミ」と表現します。

昨年から今年3月まで消費者庁で「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」というのが
開催されていまして、その検討委員会で「5%以下の意図せざる混入」はしょうがないけど
「遺伝子組換えでない」とするのは優良誤認ではないか、いかがなものか、なんて議論があったようで、
結論としては、
今後は「不検出」以外は「遺伝子組換えでない」と表示できなくなりますよ
と決まったわけです。で、ほんとにそうなりますよという説明会が開催されました。

さて、遺伝子組換え食品の表示は非常にわかりにくく複雑なものになっています。

現在日本で認可されている遺伝子組換え作物は8種類。これを使った加工品
33品目に、遺伝子組換え作物を使っているかどうかの表示義務があります。
逆に言うと33品目しか表示しなくていいと言えます。ここまではまだ良し。
わかりにくいのはここからです。

食品の裏側にある「一括表示」スペースの表示は、原材料の重量順に並んでいます。
このうちの上位3品目に遺伝子組換え作物が含まれている場合、表示義務があります。
例えば大豆が主原料である豆腐をアメリカから輸入した遺伝子組換え大豆で作った場合、
【原材料名/大豆(米国産・遺伝子組換え不分別)】てな感じです。

しかし、これは上位3品目に入っていなければ表示義務がないのです。
さらに、上位3品目に入っている場合でも、重量の5%未満であれば表示義務はありません。
かんたんに言うとちょびっとしか入っていなければ表示義務はない、ということです。

また、醤油・油・果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖については、
最終製品に改変されたDNAが検出されないため、表示義務がありません。

というような制度なので、消費者が「遺伝子組換え不分別」という表示を見る
なんつーことはほんとにめったにありません。一度輸入食品で見たことがありますが、
スーパーでビックリして商品を取り落としそうになりました。国産品ではまず見ません。

ちなみに「不分別」がすでにわかりにくいのですが、これは「IPハンドリングしていない」
という意味で、消費者にとってはなんのことか意味不明です。
でもまあ、めったに見ないから、別にいいか。

でも「不」ってついてるから「使ってないかも」という誤解を生みそうです。
「不分別=遺伝子組換え作物」ってことなのでご注意ください。

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当日資料「遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書」の概要より
これを見ると、海外ではコンタミはいいけど表示の際は厳しくしてますよ、ってのがわかります。
日本は表示が甘かった、ということなのですねーシミジミ。



そして「遺伝子組換えでない」という表示は実は「任意表示」です。

遺伝子組換え作物を使ってない=基本的に表示しなくていいのですが、
この表示は非常にしばしばスーパーで見かけます。豆腐や納豆、味噌はもちろん、
組み換えたDNAが検出されないため表示義務のない醤油やコーンフレークにもされています。

つまり「遺伝子組換え作物を使っていない=優位性がある」ってことでしょう。

ということで、遺伝子組換え作物を食べたくない人は、この表示を頼りに食品を選んでいます。
んでも、IPハンドリングだからコンタミは必ずあるため、これらの加工品を分析すると、
5%未満の組み換えDNAが検出される、てなことがよくありました。

そのため、消費者団体は5%のコンタミ率を低くし、EU並みの0.9%にすべき、と主張していました。
EUではトレーサビリティ法という法律があり、食品の原料はすべて履歴が追えるしくみになっています。
だからこそ0.9%という数字が可能なのですが、日本でトレサビ法があるのは米と牛肉だけ。
なので5%という甘い数字のままで17年間運用されていました。

が、遺伝子組換え表示の法律ができて17年間の経験を踏まえての見直し検討会議で、
トレーサビリティ法を新たに作るとか、8種類33品目をもっと広げるとか、
表示義務のある上位3品目を5品目にするとかの消費者が期待していた改正ではなく、
5%のコンタミを厳密に運用しましょう、という意外な、しかし正論という結果が出たわけです。

わたくしはこれを「意図せざる改正」と考えました。ははははは。
どんだけ厳密になるかというと、具体的にはざっくりと以下のような感じです。

・「遺伝子組換えでない」と表示する場合の根拠を準備。根拠とは、IPハンドリングの書類と
ほんとですよ、という証明。非商業栽培国から輸入している場合でも、コンタミのないことを
確認・証明できること。
ですって。

自力で分析して組み換えDNAが不検出であることの証明をしてもいいけど必須ではありません。
が、自力で不検出でも、国が分析して出たらアウト。食品表示法違反として適切な処置をとります、

ってことですから、罰則とか指示とか、プレスリリースに出るとか、有機JAS法が施行されたとき
みたいな感じでしょうか。なにしろ消費者庁は「監視する」とおっしゃっています。

でもせっかくIPハンドリングで非遺伝子組換え作物を輸入しているのに表示できない、
のでは気の毒だから、消費者庁は「一括表示内で以下のように表示しなさい」とおっしゃっています。

「分別生産流通管理済み」「遺伝子組換えの混入を防ぐため分別」(゚∀゚)なんのことやら。
また、「IPハンドリングという用語は消費者にわからないので使うな」とのことです。

ちなみに畜産物の飼料については、食品表示義務はそもそもないため、
「非遺伝子組換え飼料を使っています」は広告と判断されます。
飼料でも不検出以外の結果が出た場合は景品表示法違反になるってことでしょうか。

ということで、消費者にとってはこの厳密な法改正はハッピーかもしれません。
しかしメーカーにとってはどうかな?

今まで同様のレベル(5%以内のコンタミ)についての表示がわけわかんないのと、
不検出の非遺伝子組換え作物を輸入するのとか手間だし大変だし表示もめんどうだし、ってことで
もう非遺伝子組換え作物なんて使わなくていいか! というメーカーさんが増えると
消費者はかえってアンハッピーになるのではないか、とわたくしは思う次第です。

しかしまあ、日本では遺伝子組換え作物の輸入がなければ立ち行かないわけですから、
現状に則した状況ということなのかもしれません。悲しみを持って見守りたいわたくしです。

結論・どうしても遺伝子組換え作物が食べたくない人は国産・有機を買いましょう。

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2018/10/18 (Thu) 15:19 | EDIT | REPLY |   

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