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久松農園に行ってきた! -久松農園(茨城県土浦市)

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Byほんたべ

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久松農園の野菜が納品されているレストラン「ポステン」と久松さん。
なんでこんなとこで撮ってるかというと畑で撮り忘れたからであります。
ポステンは古い郵便局あとをそのまま使ってるかわいいレストランでした。
本を読むとコワイ人みたいですが、すげーいい人です久松さん。



『キレイゴト抜きの農業論』『小さくて強い農業をつくる』などで著名な久松達央(たつおう)さん。

とあるきっかけでお知り合いになりまして、先日初めて訪問させていただきました。
畑を見ながらいろいろお話を聞き、わたくしは古臭い知識を後生大事に持ってたな、
というか、全く更新していなかったことに気づいて愕然とした次第です。

久松さんは若い農家の方々のアコガレの的、彼らの尊敬を一身に集めるチョー有名人。
何が彼らをそこまで惹きつけるのか、そのあたりにも興味があったのですが、
そりゃそうだよなとつくづく思う、さすがのおもしろさでありました。

さて、久松農園は「少量多品目」という新規就農者が最初に挑戦するスタイルで
なんと6ヘクタールもの面積を耕作しています。6ヘクタールですよ、6ヘクタール。

ピンとこない方々のために説明すると、通常はたいてい1枚の畑に一品目植えます。
わかりやすく1枚の畑を10アールとします。10アールだと大根は5000本から7000本、
ブロッコリーやキャベツも5000~6000個ほど栽培できます。

同じ作物なのでタネまきも定植も同じ日にできます。トンネルやマルチ張りも同じです。
日々の管理も一気にできて、収穫時期もだいたい同じです。ということは。
一気に植えて一気に収穫して一気に畑を片付けられる=効率がいいのです。

農業とは、面積が広くなればなるほど効率良く作業をすることが求められ、
経費節減できて収入も上がるわけですから、基本的に一枚の畑には同じものが植わっています。
なので少量多品目栽培は規模が大きい農家には敬遠されます。というかやってる人知りません。

手間がかかるし、めんどうだし、やってらんねー、とほとんどの農家が言うでしょう。

ところが久松農園の畑は、一枚のなかにちょこちょこといろんなものが植わっています。
ちょこちょことは畑の長さによりますが、なかには一畝だけ、みたいなのもあります。
そして、隣の畝には全く違う作物が栽培されているのです。

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ほうれん草が2条に植わってる横は全然違う作物、白菜とキャベツが植えられてます。
畝間もやたらと広いし、というかこういう畑、見たこと無い。
少量多品目すげー手間かかるだろうなーと容易に想像できる畑。



これがどういうことかというと、管理作業がそれぞれに違うということで、
一枚の畑を一気にナントカする、なんてことはできないということなのです。
そしてそれが6ヘクタールもある。10アールの60倍ですよ。ヒイー(゚∀゚)

主な販売先は個人とレストラン=いろんな野菜をつくる必要があるから少量多品目なのだ、
と言われればそうなのですが、手間と暇を考えてわたくしは気が遠くなりそうでした。
久松農園ではこの少量多品目の6ヘクタールの畑を7人で管理しています。

個人のお客様は現在200軒ほどで、毎週発送する人ばかりではないそうです。
彼らに送る「野菜セット」は季節に応じてさまざまな野菜が入りますから
その配送計画に応じて昨付けをしなくてはなりません。

さらりと聞いたところでは、一畝に作付ける野菜の数はだいたい1000個くらいなので、
野菜セットの構成をうまく回すのにそれぐらいの数が妥当なのかなと想像しました。
これを個別に管理して収穫するのです。いやはや手間がかかることでしょう。

さらに、久松農園は有機JASは取得していなくても有機栽培。農薬は散布していません。
虫対策は「物理的防除」=「被覆資材」で対応しています。
畑を見るとすぐに気づきますが、なんか畝間がやたらと広く、
畑まわりにも緩衝地帯的な隙間がかなり広めに空いています。

このぶん作物を栽培すれば収量が上がるのに。とか思ってしまうのですが、
久松さんは「ロスを少なくして収量を上げることを考えている」と言います。
まず虫を中に入れない、若齢幼虫を排除できる方法をまず考える。
老齢幼虫にならなければ食害も少なくなるから、ロスが軽減できるとのこと。

なるほどー。そういうアプローチもあるんだなー。

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タネをまいてもうまく発芽したりしなかったりすることによる欠株をなくして
効率を上げる=タネがよく発芽する最適深度を調べる。なんてことは
フツーあんまり思いつかないと思うんですが、それを調べてしかも実践する、
ってのがスゴいっすよねー。同行者が言ってましたが、まるで研究者です。



また発芽率を向上させるための工夫も、興味深い発想によるものでした。
発芽率が一番良くなるタネの深さを調査し「7ミリ」とわかると、
すべてのタネが7ミリに揃うようにどうタネをまくか、と試行錯誤し
地表に圧力をかけてからタネをまくという方法で対応しているのだそう。

えええー。タネの深度なんて考えたこともなかったよ。
っていうかだいたい1センチとかでいいと思ってたし。

わたくしには、どちらも通常の農家の思考回路からは生まれない発想に思えました。
「使える地面でいかに正品率を上げるか」というシンプルでムダのない考え方ですが、
一般的には違ったアプローチをするのではないかと思います。すぐには思いつかないけど。

というかやっぱり少量多品目で6ヘクタールという選択をそもそもしないのではないか。
少量多品目ありきの畑の回し方・技術ということでしょう。かなりとんがってます。

とは言ってもそろそろ限界に近づいていると感じていて、独立する社員とともに、
今後、規模を大きくしていこう、なんちて考えているそうです。
久松農園を軸にして、農業者という細胞がどんどん増殖していくのでしょう。

わたくしの知り合いは家族経営の農家が主で、農業は家族経営が一番という人も多いのですが、
皆さんだいたい後継者ができると一時的に面積が増え、父親が衰える、
あるいは亡くなると面積は単純に減る、の繰り返しになることが多いように思います。
その臨機応変さが家族経営のいいところなのですが、農業者の増殖には繋がりません。

どちらがいいという話ではなく、どっちもあっていいのですが、
いずれにしても、素人を一から育て独立させて売り先も確保するというのは
なかなかできることではありません。しかも少量多品目(しつこい)。

久松さんのところで働く若い人は、少量多品目の作物をつくるおもしろさや、
その中から自分の作りたいものを見極められる自由さがあるのかもしれません。
それが社員のモチベーションにつながるのかも、なんちて勝手に思ったわたくしです。

発注や発送、請求、引き落としなども、ミスなく取りこぼしのないシステムをつくるなど
効率化は栽培だけに留まりません。次の世代の農家に必要なしくみやシステムを
久松さんは考えてるんだなーと古臭いわたくしはしみじみと感心しました。

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バリバリした食感のフリルレタスとサニーレタスっぽいけど品種名忘れたレタス。
野菜セットにはこういう「ちょっと変わったあまり売ってないおいしいいもの」がナイスです。
白菜一個とかはもう嫌がられて当然。大根も小さめのが当たり前とのことなので、
個人への野菜セット販売は野菜のニーズの傾向をつかめる最前線なんだろな。


金儲けよりもどうやって効率を上げるか、そのしくみややり方を考えるのが好き、と言う
久松農園は、土日はお休み、就業は5時半までが基本。スゴいじゃありませんか。

「農家が土日休むなんていいものができるはずはない」なんちて言う人が多い農業界において、
根性論や精神論を振りかざして思考停止するのではなく、土日を休めるシステムや
オペレーションを考える、それが久松達央という人なのだなーと思った次第です。

いやはや、とても興味深い体験でした。ありがとうございました。

この訪問のあと、わたくしの頭のなかの古臭い有機農業運動家が、
さらに刺激的な農業についての新しい考えを聞きたいと申しております。
また遊びに行かせてください。今度はんまいビール持っていきます。




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